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2022.4.28MARUI&Co. Vol.3 マルイ×FABRIC TOKYO|誰でも気軽に、オーダースーツに“オールジェンダー”という選択肢を

自分にぴったりのオーダースーツをネット購入できる「FABRIC TOKYO」は、マルイの共創パートナー。マルイにあるリアル店舗では、ECの気軽さを生かしながらプロの採寸やきめ細やかなカウンセリングを受けられます。なかでも渋谷モディ店は“オールジェンダーストア”として注目を集めています。

渋谷モディ店は2021年夏にオールジェンダーストアとして生まれ変わり、今年2022年3月にリニューアル。リニューアルによって渋谷モディ店はどうアップデートされたのか、今回はFABRIC TOKYOの向井純一さん、駒奈穂子さん、マルイの米倉大輔さんがトークセッション! その中味を覗いたなら、きっとスーツをオーダーしたくなります。

ご登場者さま

株式会社FABRIC TOKYO
事業部 部長
向井純一さん

株式会社FABRIC TOKYO
コンテンツデザイングループ
駒 奈穂子さん

株式会社丸井
開発イベント部 開発1課
チーフリーダー
米倉大輔さん

マルイの“売らない店”にヒントをくれたFABRIC TOKYO

FABRIC TOKYOは渋谷モディをはじめとするマルイ4店舗に出店するだけでなく、共創のパートナーでもあります。両社の関係はどのように始まったのでしょう?

米倉

2019年に資本業務提携を結びましたが、2016年にポップアップショップとして出店いただいたのが始まりです。私たちマルイは2015年から“売らない店”というビジネスモデルを掲げていますが、当時の現場には戸惑いがあったことも事実です。“売らない店”に対し、自分たちには何ができるのだろう、と。

そうした私たちに大きなヒントをくれたのが、FABRIC TOKYOさんでした。FABRIC TOKYOは、オーダースーツのECショップですが、最初に店舗にお越しいただきプロによる採寸やカウンセリングを受けていただくことで、ECサイトでの購入がスムーズになります。文字通りの“売らない店”として、リアル店舗の意味を示してくれたんです。

FABRIC TOKYOのコンセプトは「Fit Your Life」。自分の身体にフィットする着心地のよさはもちろんのこと、着用するシチュエーションに合わせたアイテム提案や必要な時にいつでもどこでもオーダー可能なサービスを展開することで、ライフスタイルへのフィットをサポート。

向井

私たちFABRIC TOKYOは、ファッション小売に対する疑問から生まれました。売ることは大事。お客様にとっても、買うことは大きな楽しみです。でも、ファッションの本当の醍醐味は着ること。それなのに売ることばかりが先行し、販売というプロセスが目的化していることに疑問を感じていたんです。

その疑問を解消するのが、店舗を伴わないEC販売でした。私たちが掲げる「Fit Your Life」というコンセプトの通り、店舗という従来の購買スタイルにとらわれず、お客様のライフスタイルにフィットしたお買い物体験をご提供したい、という想いがあります。EC販売であれば、お客様は買うことへのプレッシャーから解放され、もっと自由にお買い物を楽しめます。しかし、お客様のライフスタイルに寄り添うには、リアル店舗でのきめ細かいコミュニケーションも必要。そうした私たちに、マルイさんは深く共感くださった。だからこそ、今の関係があると感じています。

オーダースーツって、特に買うことへのプレッシャーを感じやすいですよね。私も以前は、お金にも時間にも余裕がある人の特権でしょ、なんて思っていました(笑)。でも、それは昔の話。テクノロジーの活用と中間流通の見直しにより、気軽にオーダースーツを購入いただけるのがFABRIC TOKYOです。

私たちはマルイさんのお力を借りながら、オーダースーツのハードルを下げたい。素材も色柄もお好みを選べるのはもちろん、自分の身体にぴったりのスーツなら、体型のコンプレックスもカバーできます。このスーツを着て出掛けたいという、着ることへの喜びを実感できるんです。

ひとりのお客様の声から生まれた“オールジェンダーストア”

なかでも渋谷モディ店は“オールジェンダー”を掲げた店舗ですが、どんな特徴があるのでしょう?

向井

読んで字のごとく、「女性に、男性に、あらゆる性別の人に、メンズズスーツという選択を」というコンセプトのもと、性別を問わず、誰もが気軽にメンズパターンのオーダーアイテムを作れる店舗です。

そもそもFABRIC TOKYOのスーツは、メンズスーツの型紙をベースに作るイージーオーダー。お客様それぞれのサイズを型紙に落とし込み、身体にフィットするスーツに仕上げていきますが、メンズパターンの特徴は直線的なシルエットです。でも、直線的なシルエットを好むことに性別は関係ありません。

オールジェンダーに向けたFABRIC TOKYOがあるのは渋谷モディの4階。きめ細やかなカウンセリングを受けられるスペースを備え、実際の生地に触れられるのもリアル店舗ならでは。ちなみに手前に見えるマネキンが着用しているのは、女性体型向けに仕立てられたスーツのセットアップ

女性体型だけれど、女性用のスーツは着たくない。メンズスーツを着たいけれど、既製品ではサイズが合わない。オールジェンダーストアを始めたのは、ひとりのお客様がきっかけでした。特別な思い入れのある結婚式への出席予定があり、「どうにかメンズスーツを着て出席したい」とお声掛けいただいたんです。

ご要望をいただいた当時は女性体型の方に向けたサービスがなく、個別対応の形を取らせていただきましたが、後日、本当に心のこもった感謝のお手紙をいただいて。

でも、その方だけが特別なわけじゃない。同じご要望をお持ちの方が多くいるはず。そうした気づきから2019年に、女性に向けたメンズスーツの採寸イベントを行いました。メンズもレディースも、スーツのシルエットに性別は関係ない。たくさんのお客様にご来店いただき、改めて実感しました。

上質なウールを用いたグリーンの生地はビジネスシーンにも違和感なくなじみ、単体使いならシンプルなTシャツやデニムスタイルにもマッチ。ジャケットの裾に入れるスリットはサイドベンツに、スラックスはツータックにカスタマイズすることで、ヒップや腰回りのシルエットも自然にカバー

米倉

そのお話を伺ってハッとしたのが、FABRIC TOKYOさんが個別対応をされたことです。お客様一人ひとりの体型にも、ご要望にも合わせたスーツを作れることこそ、オーダースーツの強み。その強みと醍醐味を再確認させられるエピソードだな、と。

メンズパターン(型紙)をベースに作るからこその直線的なシルエットを生かし、ジャケットをロング丈にカスタム。スーツのスタンダードとも言うべきグレーはビジネスシーンにマッチするのはもちろん、身体にフィットするオーダースーツならダメージデニムとのスタイリングもこなれた印象に

  • 余計な中間業者を介さずに工場とカスタマーを最短ルートでつなぐことにより、2ピースのオーダースーツは39,800円~、ジャケット単体は30,800円~。サイズ計測の所要時間は30~60分。来店は予約制で、WEBサイトから簡単に予約可能

  • 着用モデルの<WASHABLE WOOL STRETCH>シリーズは、お洗濯も気軽に。豊富なカラーバリエーションを展開しており、自宅のワードローブに合わせて、より自分の生活にフィットするスーツを選ぶことが可能

  • 「サステナブルアップデート」と題し、環境負荷に配慮した植物由来の原料や、フェアトレードで取引された原料を使った素材のボタン、日本の釦職人の技術によって作られたメタルボタンなどを追加。カスタマイズで選べるボタンは2種類から21種類に

お客様それぞれに事情があって、それに応えられるのがオーダーメイドならではだと思います。渋谷モディのオールジェンダーストアも、その延長線上にあります。

それにしても、イベントの盛況ぶりは予想以上でしたね。「性自認」の観点だけでなく、ファッションとして違和感なくメンズスーツを着こなしたい、という方も多くご来店くださって。

女性体型の方に向けたメンズスーツにこれだけの可能性があるなら、常設的にサービスをご提供したい。こうした想いから、2021年の夏に渋谷モディ店はオールジェンダーストアとなりました。

さらなる多様性を目指した、2022年3月のリニューアル

2021年夏のオールジェンダーストア化後、今年2022年3月にもさらにリニューアル。なぜだったのでしょう?

率直に、オールジェンダーストアへの手応えを感じられたからです。もちろん、すぐに定着したわけではありません。少しずつではありましたが、今では性別に関係なく、多様なお客様が来てくださるお店になりました。

とは言え、2021年夏のリニューアルでは、サービス内容をアップデートしたのみに留まりました。多様なお客様をお迎えするには、店舗のレイアウトもインテリアも進化しなければいけない。そこでマルイさんに相談を持ち掛け、店舗の場所も広さも内装も新たに、今年3月のリニューアルを迎えました。

米倉

FABRIC TOKYOさんのリニューアルは、マルイにとっても大きな前進でした。FABRIC TOKYOのある4階は、性別を固定するようなお店が一つもありません。飲食店のスターバックスさんや美容室のGO TODAY SHAiRE SALONさんはもちろん、靴のHARUTAさんは男女を問わずに商品が陳列されています。

そうしたフロアにあるFABRIC TOKYOさんがリニューアルをするなら、渋谷モディの4階をオールジェンダーの核となる場所にしたい。新たに生まれ変わるFABRIC TOKYOの店舗をどう進化させるのか、お互いにアイデアを出し合いながら、FABRIC TOKYOさんと一緒に創り上げた実感があります。

  • 生地見本のタグにプリントされたQRコードを読み取ることで、その生地を用いたオーダーページにアクセスできる仕組み。FABRIC TOKYOでは約300種類ものスーツ生地をラインナップし、リアル店舗への来店が難しい場合には、サイトから1度に最大10種類の生地見本を無料でお取り寄せできる

  • リアル店舗では11カ所ものサイズを測り、ジャケットにスラックスのほか、シャツやベストのオーダーも可能。自身のサイズをサイトに登録しておけば、いつでもどこでも好きなタイミングにオーダーできるのが嬉しい。細かなカスタマイズにも対応し、お届けから50日以内ならお直しは無料

  • パラアイスホッケー元日本代表の上原大祐選手をアドバイザーに招き、ソファベッドに横になったまま全身のチェックができるよう、天井にもミラーを設置。2カ所あるフィッティングルームはどちらも広々、ここで採寸を行うこともでき、プライベートな情報も他人に聞かれることなく安心できる

向井

マルイさんと一緒に創り上げたことで、思い描いていた以上のアップデートができました。当初はジェンダーに対する多様性を重視していましたが、お互いに意見を交わし合った結果、それだけでは足りないのではないか、と。

多様性ある店舗を目指すならジェンダーという視点にとどまらず、マルイさんも掲げる「インクルーシブ」のようなより広い視点からリニューアルを考えました。特に「ユニバーサルデザイン」に関しては、マルイさんから多くのアイデアをいただいて。

米倉

私としてもやりがいを感じました。マルイは以前から施設のユニバーサルデザインを進めていましたが、今回のリニューアルに合わせ、電動車いす用の充電設備を設けたり、フロアに点字ブロックを導入したり、渋谷モディのバリアフリー化もアップデートしています。

マルイでは多様性をテーマとする企業に向けて積極的にお声がけしてきました。今回のFABRIC TOKYOさんのリニューアルと同じく、渋谷モディ自体の設備面を改めて株式会社ミライロさんに監修いただきました。今回のリニューアルは商品面、設備面についても共創をすすめることができました。

向井

挙げたらキリがないほど、いろいろな仕掛けをしていますよね(笑)。代表的なところでは、車いすでの旋回が可能なフィッティングルームでしょうか。車いすでも自由に動ける広さに加え、横になりながら試着ができるよう、フィッティングルームのソファはベッド仕様。天井にミラーも付けています。

それに周囲の視線や会話が気にならないよう、カウンセリングスペースには高めの仕切りを設置しました。高めの仕切りも広々としたフィッティングルームも、これまでにご来店くださったお客様だったり、車いすで生活をされている方だったり、どれも当事者のお声から生まれたものです。

これからも共に進化し、よりユニバーサルなお買い物体験を

お客様の声に寄り添いながら進化した渋谷モディ店。マルイ×FABRIC TOKYOの共創は今後、お客様にどのような体験をもたらすのでしょう?

リニューアルを迎えたばかりの渋谷モディ店ですが、これが完成形だとは思っていません。ご来店くださるお客様の数だけ個性があって、個性の数だけご要望があります。すべてを実現できるわけではありませんが、お客様一人ひとりのお声に耳を傾け、多くの方にとっての最適解を見つけたいと思っています。

その最適解を店舗に反映していったなら、自ずと店舗も変化します。実は近い未来の変化を見据え、渋谷モディ店に使用しているラックもハンガーも可動式。可動式ならお客様のお声に応じ、フレキシブルな対応ができます。

向井

フレキシブルに姿を変えながら、私たちが目指すのは選択肢を増やすことです。自分にぴったりのスーツを選ぶことができ、お店でも自宅からでもオーダーできる。選択肢の広がりは、多様性の尊重とイコールですよね。お客様の選択肢を増やすのと同時に、多様な社会へのお手伝いができたら最高です。

米倉

FABRIC TOKYOさんの取り組みは、オーダースーツの世界に“オールジェンダー”、さらにいえば“インクルーシブ”という選択肢をプラスしたと思うんです。だからこそ、今回のリニューアルは、マルイにとっても新たなスタートライン。FABRIC TOKYOさんの進化に追いついてこそ、お客様のお買い物体験はより豊かになります。

今後もFABRIC TOKYOさんと手を携えながら、マルイの施設全体にお客様のお声を反映することが私たちの大きな役目。お客様の選択肢を広げ、誰にとっても安心な、快適なマルイを創り上げていきます。

INFORMATION

■FABRIC TOKYO 渋谷MODI
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