みなさまにゆっくり過ごしていただくよう、“居心地のいいお店”を目指して
お客さまから企画会議やアンケートでご意見をお伺いいたしました。
店内のデザインや休憩スペース、環境音など、地元らしさを感じていただけるよう、
お客さまだけでなく地元の専門家のみなさまと一緒につくった店内環境をご紹介いたします。
1“博多織”から連想した文化を織り成すイメージの店内デザイン
博多織から連想したエスカレーターの壁面
様々な声が重なり、織り成す象徴として「博多織」をモチーフに文化が織り成されるイメージをエスカレーターの壁面に表現しました。
このデザインは福岡のデザイナーの方にデザインしていただき、「博多、九州ならではを感じたい」といったお客さまの声にお応えいたしました。下の階から少しずつ経糸と緯糸が交わるデザインは、「お客さまとこれからも一緒に」を表現しています。
「博多織はあくまでもモチーフ。織り成すのは文化。」
先崎 哲進さま / Takayuki Senzaki
テツシンデザインオフィス / デザイナー
- プロフィール
- 九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)出身デザイナー。博多マルイの店内環境のデザインを担当。
- 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 博多織はあくまでもモチーフでした。
制作の中で経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が織りなされ、柄が浮かび上がっていく様子は、異なるカルチャーが融合して新しい価値や発見が生まれるプロセスに感じました。
それはマルイさんが今回、福岡に出店するにあたって福岡の様々なカルチャーを吸収し、新しいマルイを作りたいという強い想いに通じたものだと思います。 - 博多マルイへメッセージ
- グランドオープンおめでとうございます。
福岡の新しい顔として末永く福岡らしい文化の成長に寄与して頂けると信じています。
2すべての人に自分にぴったりな座り心地を。 ~休憩スペース~
鹿児島県産の杉を使用した5階の休憩スペース
「九州は鹿児島や大分など、杉や竹など木の産地が多いので取り入れてほしい」「木や自然素材があるとホッとして心地が良い」など、みなさまからいただいたご要望をもとに九州産の木の素材を店内に使用しました。
座る高さが選べ、その場で買ったものが
食べることができる1階の休憩スペース
また、「買ったものをその場で食べられる場所が欲しい」「電車の待ち時間にちょっと待てるようなスペースがあると便利」といったお声をもとに、ご利用の用途に合わせた休憩スペースをご用意いたしました。2階は油山、3階は志賀島、4階は大濠公園、5階は楽水園をイメージした、福岡ゆかりの居心地を味わっていただきたいという願いが込められています。
ベビーカーや車いすの方も広くて安心な
4階の休憩スペース
今回博多マルイでは、すべての人にゆっくりくつろいでいただくために、専門家や地元企業のみなさまと共同でユーザーワークショップを実施し、居心地のいいお店づくりを一緒につくってまいりました。
「多様な人々が心地良く過ごせる
新たな名所になることを期待」
平井 康之さま / Yasuyuki Hirai
九州大学 芸術工学研究院
デザインストラテジー部門 教授
- プロフィール
- 英国王立芸術大学院卒、米コンサル会社「IDEO」出身。
イギリスで始まった「インクルーシブ・デザイン」の国内第一人者。誰もが暮らしやすいデザインを公共空間などに応用している。 - 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 多様な市民のみなさまと丸井のスタッフのみなさまが体験を共有し、休憩コーナーを中心に「居心地」を考えるデザインワークショップを行いました。参加したみなさまの熱い想いが解決策につながったことが印象的でした。
この密度の高い気づき体験は、これからの共創活動の原動力になるでしょう。 - 博多マルイへメッセージ
- 開店おめでとうございます。世界で最も住みやすい都市ベスト10に選ばれた福岡市で、多様な人々が最も心地良く過ごせる新たな名所になることを期待します。
「ともに、素敵なまちをデザインしていきましょう!」
遠山 昌子さま / Shoko Tohyama
一般社団法人
生き方のデザイン研究所 代表
- プロフィール
- 北九州障害福祉ボランティア協会で約20年勤務の後に独立。障がいのある人も無い人も、ともに「自分らしく」イキイキと安心して暮らすことのできる社会の実現をめざし、「居場所」「役割」「つながり」をキーワードに活動中。
- 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 私どもの組織から多様な障害者や高齢者、親子、学生など17名が参加し、それぞれに特有のニーズを説明したり、行動してみせたりする姿は、とてもイキイキと楽しそうでした。
「障害って大変ね」「かわいそうに」ではなく、障害のある人と過ごすことで新たな「気づき」がある、「一緒にいて楽しかった」を共有したいと願い、団体を設立した意義を改めて大切にしたいと感じることができました。 - 博多マルイへメッセージ
- 多様なニーズをお持ちのお客さま一人ひとりを大切に…という想いが伝わります。
ハード面の整備だけでは100%満足できる社会は実現できないといわれる中、お客さまの声に耳を傾け、可能な限りの工夫をしていただけたことに感謝申し上げます。
私たちは、これからますます博多マルイさんが好きになり、もっと良くなるように願って、楽しみながら気づきを共有していきます。
ともに、素敵なまちをデザインしていきましょう!
3地元の音風景を博多マルイに
有楽町マルイでの集音風景
来店された方が店内をくつろぎながら居心地良く過ごしていただけるよう、店内での音の聞こえ方や感じ方を専門家の先生方との共同研究にて検証しました。
「ここまで音環境に配慮された
商業施設は、なかなかないのでは?」
尾本 章さま / Akira Omoto
九州大学 大学院 芸術工学研究院
コミュニケーションデザイン科学部門
教授 博士(工学)
- プロフィール
- 福岡市出身。九州芸術工科大学卒業。現在、日本で唯一の「音響設計学科」を有する九州大学芸術工学部で応用音響工学に関する研究に従事する音の専門家。
九州大学ソーシャルアート・ラボ長。 - 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 音環境は、商業施設の居心地の良し悪しを決める一つの重要な要因です。
今回、既存の店舗の音環境を高精度に再現し、そこにふさわしい音を探す実験に取り組ませていただきました。工学的な知見を社会的な問題解決に結びつける、これまでにない適用例です。ここまで音環境に配慮された商業施設は、なかなか無いのでは? - 博多マルイへメッセージ
- 大変勉強になりました。これからも良い音環境を探す試みなど、お手伝いさせてください!
「“居心地のいい店”であり続けてください」
中村 美亜さま / Mia Nakamura
九州大学 大学院 芸術工学研究院
コミュニケーションデザイン科学部門
准教授 博士(学術)
- プロフィール
- 「差異ある他者との共生」をテーマに、社会を変える音楽やアートの実践について探究している専門家。
九州大学ソーシャルアートラボで、さまざまな企画運営に取り組んでいる。 - 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 大型商業施設には、小売店とは異なる音環境が存在します。今回改めて多数の店舗を調査し、随所に音の工夫が施されている一方、それらがお互いを打ち消し合い、効果を十分に発揮していないことが多いのもわかりました。
これからは、それぞれの音の個性が生かされる、環境全体としての音のデザインが問われるようになってくると思います。 - 博多マルイへメッセージ
- 多様な人たちの「共創」が生まれる、「居心地のいい」お店であり続けてください。
太宰府・観世音寺の梵鐘の音を実際にレコーディング
また、地元らしさや博多らしさを感じていただきたい仕掛けは店内の環境音にも。1階と2階の時を知らせるのは日本最古の梵鐘である太宰府・観世音寺の梵鐘です。現地で収録した音色を現代に置き換えたサウンドにして、朝~昼~夜と、時の移ろいに合わせ、さりげなく1日の変化を演出します。楽曲は地元のサウンドプロデューサーの方に制作いただきました。
「帰ってきたい場所が、ひとつ増えました。」
原田 智弘さま / Tomohiro Harada
株式会社ソニカ/ソラソレ堂 代表取締役
- プロフィール
- 福岡県宗像市出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業。作家名はTOMZUIN H。アルケミスト、大木彩乃、リカ・トゥモールなど幅広いアーティストのアレンジ、音楽プロデュースを手がけるサウンドクリエーター。
町田マルイのパブリックなどのサウンド環境デザインも手がける。 - 博多マルイを一緒につくって感じた事
- 博多の音をデザインしていくうちに、音と音楽に満ちた「博多」が見えてきました。その中でも「祝い目出度」や「博多手一本」によるコミュニケーションは、古くから受け継がれる、まさに「共創」のカタチであることに気づきました。
また音づくりに際し、観世音寺をはじめ地域の方々からのご協力を頂いたこと、加えて故郷の友人と再会し、貴重な情報・協力が得られたことはとても感慨深く「つながっている」ことを強く感じました。
そうか、これも「共創」なんですね。 - 博多マルイへメッセージ
- 博多マルイは僕のこだわりの場所。帰ってきたい場所が、ひとつ増えました。
「リラックスしたり、気分転換したり
といった場になれば嬉しい」
原田 郁子さま / Ikuko Harada
clammbon
- プロフィール
- 1975年福岡生まれ。1995年「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。ソロ活動も行っており、2004年に『ピアノ』、2008年に『気配と余韻』『ケモノと魔法』『銀河』のソロアルバムを発表。
2010年5月には、妹らと吉祥寺に多目的スペース「キチム」をオープンさせる。昨年で結成20周年を迎えたクラムボンは、メジャーレーベルを離れ、自身のレーベル「トロピカル」よりツアー会場でのみ販売されるミニアルバム『モメントe.p.』を発表した。新曲を生演奏し、可能な会場すべてでサイン会を行う初の完全「手売りツアー」(全国27公演)を開催。ツアー会場にて販売店の募集も開始し、現在、全国に拡大中。
http://www.clammbon.com/ - 博多マルイへメッセージ
- 時報のサウンドの演奏に参加するというのは初の経験でした。ふわっと風が吹く、パッと日が差し込むといった一瞬の出来事のように、たまたまマルイに立ち寄った瞬間に時報の音が聞こえてくるというのは、音づくりに参加者として、とても嬉しく思います。日々忙しいみなさまが、少しリラックスしたり、気分転換したりといった場になれば嬉しく思います。
お客さまよりデザインのテーマを募集し、“博多らしさ”を大事にしたテーマをもとに地元出身デザイナー様にデザインしていただきました。そのデザインをお客さまに投票いただき、1位となった“博多織”をイメージしたデザインに決定いたしました。「博多織の柄には、魔よけや家内繁盛などの意味が込められており、縁起が良い」「いくつになっても年代関係なくもてるデザインで、上品さや高級感を感じる」など、さまざまなお客さまのお声をいただき完成したKITTE博多エポスカード。
みなさまにとって特別な1枚になりますように。